■脱ファンタジーと同時代性
宮崎駿監督(72)の5年ぶりの新作アニメーション映画「風立ちぬ」が完成した。
ゼロ戦の設計者、堀越二郎(1903~82年)をモデルに、小説「風立ちぬ」の
作者堀辰雄(1904~53年)の人物像を融合した主人公は、美しい夢を追い求め、
働き、恋愛をする。大正から昭和にかけての激動の時代に生きた青年に託した思いを、
宮崎監督に聞いた。
関東大震災が起き、失業者は増加。病気も蔓延(まんえん)し、戦争に突き進もうとする
時代に、二郎は技師としての仕事に没頭する。いずれ、若者たちがゼロ戦に乗って
戦場に飛び立つことになるが、二郎は美しい飛行機を夢想して、仕事に励む。
「自分の今いる場所で、可能な限り誠実に、力いっぱい生きるしかない。
世界のあらゆることに関心をもち、政治情勢によって自分の行動を決めるなんてことは
できないですから。職業人は職業に専心することによって、小さな窓から世界を眺めて、
初めて世界を感じ取ることができるんじゃないでしょうか」
この生き方は、敬愛する堀田善衞(よしえ)が20世紀末の社会を論じた評論集
『空の空なればこそ』で紹介した、旧約聖書の言葉「凡(すべ)て汝(なんじ)の手に
堪(たふ)ることは力をつくしてこれを為(な)せ」に通じる。宮崎監督は、2008年の講演で、
この言葉を引用し、「これをやったら世の中のためになるとか、意義があると決まっている
仕事はない。どんな仕事でも力を尽くせば、やってよかったと思う瞬間がある」と語っている。
「できることを懸命にすべきだ」という理想を担わせたのが二郎なのだ。(>>2以降に続きます)
ソース:YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/cnews/20130712-OYT8T00780.htm
画像:「この映画は子供を置き去りにしてしまうんじゃないかとも思いました。
でも、分からないものを見るのも意味があるという声が、後押ししてくれた」と話す宮崎駿監督
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1374188667/
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